車買い替え軍記~前編~
ジャッジメントチェーン(
念によって創り出した鎖を対象者の心臓に刺し、ルールを定める能力。定められたルールに反した場合、鎖が対象者の心臓を握りつぶす。
クラピカは自分自身に対して「チェーンジェイルは旅団以外には使わないこと」というルールを定めて自分に仕掛け、チェーンジェイルの威力を向上させている。
熊井シシャモ
「……なるほど。クラピカは自分の能力に『旅団以外に使用しない』という制約と『旅団以外に使用した場合自分の命を落とす』という誓約を立てたことでその威力と精度をチート級に引き上げた、ということですか」
※みんな大好きハンターハンターより
熊井シシャモ
「つまり、これを取り入れれば私もスロットで著しい能力を引き出せるということですね!! あっはぁ!! なんて簡単なことなのでしょうか! こんなことに気が付かなかったなんて!!」
熊井シシャモ
「早速、制約と誓約を立てましょう! これで私のヒキもチート級のものになるに違いない!!」
ーー都内某所ーー
ーー友人エス君を呼びだした熊井シシャモーー
友人エス君
「……って、そんなことで呼ばれたのか俺は」
熊井シシャモ
「そんなこととは失礼な! 私は本気ですよ!!」
友人エス君
「そんなくだらないことに時間を使っているくらいなら、データの収集でもしながら高設定が投入されそうな店と機種を絞った方が身のためなんじゃないか?」
熊井シシャモ
「ケッ! そんな正論聞くためにエス君を呼んだわけじゃないんです。いいですか? 私はなんとしても明日勝って、この嫌な流れを断ち切りたいんですよ。ユーアンダースタンド?」
友人エス君
「……まあ、シシャモ君が勝とうが負けようがどうでもいいんだけどな。いいぜ、話くらいは聞いてやるよ」
熊井シシャモ
「では、今から私は制約と誓約を立てますから。しっかり聞いていてくださいね」
熊井シシャモ
「まず私は明日の朝イチからの立ち回りで『絶対に負けたくないのにも関わらず最も自分が苦手としている機種を打つ』ことにします。これが制約」
友人エス君
「ちょっと待って。何そのルール」
熊井シシャモ
「なんですか? 何か問題がありますか?」
友人エス君
「クラピカの生き様見た? そんな弱い制約じゃないよ彼」
熊井シシャモ
「まあまあ。最後まで話は聞いてください。まだ誓約が残ってます」
熊井シシャモ
「もし明日の実戦で敗れた場合『愛車を手放し車を買い替える』こととする。これが誓約」
友人エス君
「い、いや…だから待てって」
熊井シシャモ
「んもぅ、なんですかいちいち」
友人エス君
「シシャモ君、負けすぎて頭バグってるんじゃないのか? 全然君にプレッシャーないじゃないか」
熊井シシャモ
「何を言っているんですか!! こんな負けが込んでいる時期に『苦手機種縛り』なんて、完全に制約でしょうが」
友人エス君
「ん、まぁ言われてみればそうなのか……?」
熊井シシャモ
「さらにですよ? スニーカーだのTシャツだのガルパングッズだのに散財したおかげで金がない貧乏サラリーマンが『車の買い替え』なんて、結構断腸の思いですよ。惑うことなき誓約です」
友人エス君
「い、いやそれは君が悪いんじゃ……」
熊井シシャモ
「とにかく! 私は明日この条件で立ち回ります! クラピカ様のような縛りを設けたのですから、負けるはずがありません!! うひひっ、高まるぅ~!!」
ーーー
ー ー
ー
ーー都内某所ーー
熊井シシャモ
「と、いうことで今日はロクに下調べもせず、なんなら朝からの抽選も受けず、地元のお店に来ています。私が苦手としている機種は空いているかしらん♪」
熊井シシャモ
「うむ、きっちり空いてましたね!『マジカルハロウィン7』!!」
熊井シシャモ
「熊井調べではこの機種、絶対に勝てないということで結論が出ています。が、今日は私がたてた制約に則って、泣く泣くこの機種に座ることにします」
熊井シシャモ
「さあ、行きますよ! もう負けられない戦い! 冬の陣! パンツァーフォー!!」
ーー数時間後ーー
BIG→REG→REG→REG→天井BIG→ART駆け抜け→天井BIG→ART駆け抜け
総投資4万。回収ゼロ。
熊井シシャモ
「どう頑張っても勝てねぇ……」
熊井シシャモ
「い、いやいや。いくら何でも無理ゲーが過ぎませんか? 目指すべきポイントが全く見えてこないんですけど……」
熊井シシャモ
「そもそも、なんで私はこの機種を打っているんでしょうか。私自身も楽しくないし、ホールから消えかかっている機種ですし、もう誰も得しませんよ(半ギレ)」
熊井シシャモ
「なんとかBIGからぶち込んだARTが多少伸びてくれているので、投資はようやく止まりそうですけど…。これが終わったらもう成すすべなく終わりですね」
熊井シシャモ
「ったく。どうせこの額負けるなら、まだ好きな機種で負けたかったですよ。ガルパンGか弥生ちゃんなら許せた気がします(大嘘)」
熊井シシャモ
「アリスが可愛い子ちゃんだから私の怒りもかろうじて抑えられる範囲内に収まっていますが……。これでヒロインが可愛くなかったら絶対に許しませんよ私は(大嘘)」
熊井シシャモ
「いい加減なにかきっかけが欲しいのですが……うん?」
↑半目なう
熊井シシャモ
「ち、ちちちちち中段チェリーだーーーー!!」
熊井シシャモ
「これか! これなのか!! 私のジャッジメント!!」
熊井シシャモ
「長すぎた前兆ですね! やはり私の制約と誓約は間違っていなかったのか! 完走できればまだギリ捲れる範囲内です!! アホみたいに負けているんです! 車なんて買い替えている場合じゃない!!! なんとかしますよ!!」
ーー以下ダイジェストーー
熊井シシャモ
「オラァァン!!!! どうだ!! 私の本気!!!!」
熊井シシャモ
「フゥー!! 完走確定です!! 投資が4万なので、ギリ捲りでしょうよ!! ジャッジメントの力ですね!! フゥー!!」
熊井シシャモ
「って、ん? ちょっと待ってください」
熊井シシャモ
「ちょ、ちょちょ……。この機種、最高純増3枚ですよね? これ大丈夫ですか? 足りますか? ゲーム数の完走? 枚数足りるよね? やめてよ??」
足りない
熊井シシャモ
「完走したのに2000枚とれないなんて……」
熊井シシャモ
「こんな仕打ちありますか…。いや、ちょっとこれは予想外なんですけど……」
熊井シシャモ
「う、うん。まあ完走しましたし。これはもう勝ちに等しいですよね。車の買い替えはまたの機会にしても、誓約には反していないのでは……」
以下回想
チーム熊井シシャモの面々
ジャッジメントその①
「貴様……。車を買わないというのはどういうことだ」
熊井シシャモ
「えっと…その……。完走したし、いいんじゃないかなって……」
ジャッジメントその②
「ふぅーん。いいのかな、そんなこと言って」
ジャッジメントその②
「誓約守れないと…もう勝てなくなっちゃうよ?」
ジャッジメントその③
「そうよ? 自分で勝手に言い始めて、それで負けたんだから。車、買い替えましょう? ね??」
心優しき人その①
「ちょっと待ってください! シシャモ君は本当にお金ないですから!! この人、スニーカー買うの控えたと思ったら、今度はアホみたいにガルパングッズ買い漁ってるんですよ!?」
熊井シシャモ
「うぅ…。でも今の車雨漏りするし……」
心優しき人その②
「お金に余裕なんてないのに、ココスとガルパンのコラボも始まってしまったせいで気が狂ったようにココスで食事をしているんです。そんな切迫した彼に、車を買わせるんて横暴です」
熊井シシャモ
「頭金…3年ローン…燃費向上……」
熊井シシャモ
「(いけるっ!!!!)」
熊井シシャモ
「あのっ!!」
熊井シシャモ
「私、車……。買いますっ!!」
後編へ続く
投資40000
回収37000