チェンクロをすこれ
私の記憶が正しければ、6号機の超初期に導入された機種でございます。
様々な不安と期待を打ち手に抱かせながら、満を持して開発された6号機。その第一弾として世に産み落とされたのが「HEY!鏡」であることは記憶に新しいですね。
その後しばらくして導入されたのがこの「チェインクロニクル」。打ち手の期待に良い意味で答えた「HEY!鏡」という存在に背中を押されたこともあり、この機種に対する期待も悪くはなかったと思います。
それに加え開発したメーカーが、その当時すさまじく勢いのあった『サミー』グループ。5.9号機という暗黒時代に「コードギアスC.Cver」を代表するGRTシリーズや、A+ARTという5.9号機ではほぼ絶望的なスペックにもかかわらず、超スマッシュヒットをかました「ディスクアップ」を作り上げたメーカーである。
当然、打ち手は期待せざるを得ない。遥かなる希望を世のスロッターに与え続けたサミーが、新たに始まった6号機という時代をまたしても牽引していく……。そんな予感がパチスロ打ちの脳裏をよぎったもの。私もそうでした。
ところがどうだ。残念ながらお世辞にも稼働が良いとは言えなかった。
「HEY!鏡」がそれなりに稼働しているのにも関わらず「チェンクロ」はほぼ通路になっておられた。
その理由は単純明白。恐怖の「ちぇんくろ学園」に他ならない。
※画像は拾い物です
「ちぇんくろ学園」は、ざっくり言うと「現状維持の無抽選ゾーン」。「ゼロボーナス」と呼ばれるもの。
通常時に頻繁に成立してしまうこの「ゼロボーナス」のフラグ。このフラグが成立している時に、特定の場所を狙ってしまう(あるいは無意識に止めてしまう)と、約60ゲーム間なにやらよく分からない映像と共に、無抽選のゾーンに突入してしまうのです。
これが打ち手の稼働意欲を削いだ。それどころか、面白半分でその「ゼロボーナス」を成立させてから台を空けるという行為が頻発したことにより「無抽選ゾーンを回してまで、わざわざチェンクロを打ちたくないよね。ハハッ」という当たり前の思考から、よりチェンクロの稼働は落ちてしまった。店にある数台のチェンクロが、すべて「ちぇんくろ学園」の液晶で放置されているなんてことも何回か見ましたし。
そして月日は流れ、多数の6号機がホールに設置されている。いつの間にか、打ち手は6号機に絶望していた。
だが、私は今だからこそ言いたい。「チェンクロはそこそこ面白いよ」と。
誉める前に、まず悪い点を上げる。
「ちぇんくろ学園」
これは必須項目である。最早何も言うまい。
サミー側が打ち手を信用しすぎた結果、とんでもなく罪深いものを産み落としてしまいました。そもそもこの「ゼロボーナス」はなぜ搭載されているのかって話になるのですが、それはまた後で。
「演出バランスがひどい」
赤ハズシ過ぎなんですよ。パチンコじゃないんだからさ。
悪い点って、ぶっちゃけこの2点くらいじゃないですか?? いや、この2点が凶悪すぎるから流行らなかったんですけど。
続いて私が思う良い点を。
「6号機の中ではベースが低い」
高ベース機主流の6号機の中では比較的コイン持ちが悪い。これは何も悪いことではなく、その分ATの突入率に対して出玉性能が高いと思うのです。
ベースが低い(コイン持ちが悪い)→ATの性能が高い→波が荒い
という図式になりますかね?? そう考えると、マンネリ化しつつある6号機に一石投じる仕様であることは、わずかながら窺えるようなそんなこともないような……。
「どのタイミングからも最大獲得枚数の完走が狙える」
通常時を有利区間としていないため、どのタイミングでのAT突入でも有利区間最大獲得枚数である2400枚を狙える。
「純増枚数がちょうどいい」
これは個人差がありますが、チェンクロくらいの純増がちょうどいい気がします(純増4枚)。
高純増すぎるとあっという間にATが終了してしまい、楽しい時間が短すぎるというなんとも残念なことになる。逆に低純増はちょっとダレる。
しかし、チェンクロのATはスピード感、持続感、共に良いバランスなのでそんなことがない。とても楽しい。
「AT中のハズレがストレスにならない」
AT中はハズレを引くとちょっとしたお得(ゲーム数の増加や、継続率に関係するカードの優遇等)があるので、そこまでストレスに感じない。これは私だけかもしれないけれど。
「AT突入時の『行くぞ!義勇軍!ギュギュギュぴぽぽぽぴゅぴぴーん』がちょっとクセになる」
慣れてくると、とても心地よく聞くことができます。
………
……
…
ざっとこんな感じです。ホント悪くないと思うんですけどねぇ。
さて、ここからが本題。私が「チェンクロをすこれ」とかいうトンチキなことをタイトルに持ってきてまでダラダラ記事を書いている理由なのですが……。
これから先、6号機が革新的な進化を遂げるにはこの「ゼロボーナス」をうまく使うしかないのではないかと思うのです。
チェンクロをダメな台へと誘導してしまった最たる原因である『ちぇんくろ学園』というゼロボーナス。これは、低ベースを実現するために断腸の思いで搭載したものだと思います。
まず目を向けたいのは、チェンクロは他の6号機と比較しても「初当たり確率、ATの性能共に優秀」だということ。
その優秀さを実現したのがこの『ちぇんくろ学園』という仕組み。
なぜゼロボーナスを搭載すると性能の高いATを搭載できるのか、ベースを低くできるのか。
その辺の理由を上手く説明できないことについては、私の知識不足と文章力の無さを悔やむとして、ざっくり私の認識を書くと「出玉試験で長く通常時を消化させるための仕組みがゼロボーナス」という感じでしょうか。間違っていたらごめんなさい。
パチスロを世の中に送り出すためには「出玉試験」を通過する必要があります。この「試験」には様々な基準があるようですが、ざっくり言えば規定されたゲーム数の試行を行い、±○○枚を超えるのはダメ、というもの。つまりは「出すぎても出なさすぎてもダメ」。
当たり前の話になりますが、初当たりが軽くその上高性能なATを搭載してしまうと、一気に出玉を獲得してしまう可能性があるので上限に引っかかる。逆に、吸い込みが過ぎれば下限を突破してしまいこれもNG。
現状の6号機で高ベース機が主流なのはこれが理由でしょうかね。通常時にコイン持ちを良くすることで吸い込みを軽くし、その分初当たりを重めに設定。下限に引っかからないように取り計らっているのだと思います。
こうすることで、通常時が長くなる。性能が高いATを搭載しても「有利区間」という強制終了フラグによって定期的に長い通常時へと連れ戻すことができるので、長い目で見ればなだらかなグラフを描くことになる。
高ベースの高純増AT機が増えているのは、この出玉試験を通過するのに最も単純かつ分かりやすいスペックだからだ。
一方、チェンクロは性能の高いATを搭載しているのにベースが低い。これは言い換えれば「通常時が短く、高性能のATに当選しやすい」ということ。これを可能にしたのが例の「ゼロボーナス」なのだと思う。
「ちぇんくろ学園」を通常時に成立させるとゼロボーナスに突入し、60ゲームもの間、現状維持ペースのAT無抽選区間へと移行する。すると、言わずもがな通常時が伸びる。しかも、コインをほぼ維持したままだ。スランプグラフは横ばいになり、ベースが高く(コイン持ちが良く)なる。イメージに容易い、ダラダラとした通常時というやつだ。
しかし試験で成立してしまうこのゼロボーナスは、実際のホールにおいて打ち手は回避できる。 その「ダラッダラの通常時」という悪い部分だけを取っ払って、やや波の荒いチェンクロの性能を味わうことができるのだ。
つまり、この「ゼロボーナス」をもっと上手く使えたら、きっと6号機はもっと面白い台が増えると思うのです。「通常時の退屈な時間が長いな……」とか「初当たりは軽いけど、ATの性能が弱すぎるな……」みたいなことが起こりにくくなるんじゃないかと。
そうはいっても、結局は「有利区間」という魔物が付いて回るのもまた事実。こればっかりは回避のしようがありませんからねぇ。どんなに頑張っても一撃2400枚というのは、やはり悲しい。これはメーカーにも打ち手にもどうしようもないことなので、納得して飲み込むしかないのでしょうけど……。
どうやらもうすぐ「6.1号機」という区分にスロット業界が移動するみたいですし、多少状況は変わるかもしれません。どんな風になっていくのかは分かりませんが、私は少しでもスロットの未来が明るく、そして打ち手を楽しませるような台が作られることを祈るばかりです。
ここまで誉めてきてますけど、AT中の演出バランスの悪さ。これだけは絶対に許さないぞチェンクロ。
絶対にいつかギャフンと言わせてやるからな。絶対にだ。
今年チェンクロでボロ負けしている私でございました。現場からは以上です。オーバー