VS『番長3』その②
844ゲーム通常BB。良かったは良かったが、よく考えれば、うーん。なんとも喜びきれない。しかし、とにもかくにも苦しい場面は乗り越えた。なんとかなるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながらARTの消化に入ると、なんと一日目で豪遊閣に飛んだ。
「ん?」
しかも、轟大寺にも飛んで、あっさりBBも取った。
「んん?? やれる日なのか? 今日の自分、やれるだろ、オイ!!」
この流れはやれる日の流れである。ポンポン嘘みたいに継続してしまう日だ。全盛期の藤川球児投手が、いとも簡単にストレートで空振りをもぎ取っていたあの状態に近い。
手始めにボーナスで7を揃える。さらにその後、一日目で二つストック。豪遊閣に飛んでいたので、もう一つあるはず。何はともあれ、4つは確定しているのだ。私は心の引き出しにそっと鍵をかけた。
しかし、イケイケだったのはその時だけ。その後は対決に負け続け、ストックをただただ消費し続けた。三日目にも轟大寺に行かない。なんだか知らないけれど対決カウンターも重い。
「あ、ダメだなこれ。終わるわ」
私は予感していた。やれる日だと思っていたのに、拍子抜けである。簡単に、あっさりと、何のことはなく終わるパターンの雰囲気。ちょっとばかし頑張って、500枚ちょっとで終わるパターンだ。番長3とはそういう思わせぶりな機種なのだ。
「あーあ。結局こうなるんだなぁ」
私はふてくされながら、六日目を消化する。見えるストックはすべて消化した。つまりもう終わる。ああ、あんなに楽しく打てていたのに、なぜこんなに早く終わってしまうのか。ここからまた長く険しい通常時がやってくるのだ。楽しい時間はあっという間である。
負のオーラをイヤと言うほど漂わせていた私の思いは、良い意味で裏切られることになる。そう、今日の番長は違った。なんだかよく分からないが、ストックが出る。えげつないループだ。いつだ? いつ取ったこのループ、と言わんばかりのループ。青ばっかりだったはずだけどなぁ。ということは、初当たりでのループだなこれ。
5個目のループストックを確認したとき、私はそれを80%のループと認定することにした。おめでとう、私。これはいくつ出てくるかわからないぞ。
しかし、いつまでもループに頼っているワケにも行かない。そのループストックは、いかに80%といえど、有限なのだ。甘えるなよ、熊井。私はその有限なループストックを愛おしく思いながら、感謝の気持ちを忘れることなく、真摯にレバーを叩き続けた。
真摯にレバーを叩き続けた熊井は、あっさりと対決に負け続けた。ついでに言えば、BBも取れない。私はかなりソワソワしながらARTを消化した。いつ終わってもおかしくないぞ……。
しかし、いつまで経ってもARTは終わらない。なんだこれ、もう10個はループ出てるぞ。ぶっ壊れてるんじゃないか? これ。
勿論、そうなってくると、だんだんと調子も上がってくる。たまに対決にも勝つ。もはやどこまで行ってしまうのか分からなくなった。そしてついに、長い道のりを越え、やっとの思いで取ったBB。
これがなんと絶頂対決だった。
うわぁ、なんだこれ。まずいぞ、取りきれない。私はその絶頂で6個乗せ。もう少し取りたかったが、まあ上等だ。絶頂対決は引くことが大事。その後もポンポンと上乗せを繰り返し、4回目のBB。これも絶頂だった。
もう5だこれ。なんだこれ、エグい。あとは時間との勝負だ。
50日目に突入し、出玉もバッチシ。どこまで伸びるかだ。
で、急ぎ目に消化する私。そうしているうちにもストックはするし、なんかループも出るし、もうワケが分からなかった。
さらにここでとどめとばかりに80%ループを取ってしまう。もっとワケが分からなくなった。ダメだ、時間が許す限り出続けるぞこれ。
終いにもう一度絶頂を引き、結局確認できたストックを7個を残し、閉店となった。80%のループもあったので、まだまだ出続けたことだろう。
出玉は一万一千枚強。人生初万枚を達成した。
この勝利に気を良くした私は、この日から番長3に取り付かれてしまう。万枚と引き替えに、番長3に呪われてしまったのだ。店に行けば番長3を打ちたくなり、しかしその度に負ける。ちょいちょいやれていたはずの番長3で、全く勝てなくなった。ちょっと困ったなあ。でも、呪われているから打つしかない。困ったなぁ。