ゼロゲームやめが出来るまで

パチスロが好きなんですよ

VS『パチスロマイケル・ジャクソン』その①

某日。仕事が休みなのにも関わらず、私は朝八時に目を覚ました。

昨日のうちに用意しておいた菓子パンを食べながら、インスタントのコーンスープを飲み、余裕をもって熱めのシャワーを浴びる。歯を磨きながら鏡を見ると、いつもに増して気合が入っている自分を確認できた。キリっとしている。私は気合が入っているときはいつも熱めのシャワーを浴びる。

 

自宅から電車で30分弱。目的のB店へ。私はこの日、どうしても打ちたい台があった。ここ最近の台で最もビッグなタイトルといっても過言ではない、あの台。そう、みんな大好きの、あの台。あのスーパースターの台である。

 

パチスロ・マイケルジャクソン』

 

私はマイケルジャクソンが好きだ。『今夜はビート・イット』のミュージックビデオは何度も何度も見た。サビの部分の振り付けは頭に入っているくらいだ。自宅から行ける距離で、唯一マイケルを3台も導入しているB店。朝の抽選は、何番を引いてもマイケルを打つと決めていた。たとえ1番でも、番長や絆を無視して私はマイケルに行く。

 

並びは150人程。休日はそこそこ並ぶ店なので、このくらいは覚悟してきたのだが、いざ並ぶとどうしても不安がよぎる。果たして私はマイケルが取れるのか。あのスーパースターのタイアップ機である。みんな大好きマイケルジャクソンだ。争奪戦になるに違いない。

 

頼むぞ、せめて50番以内で!できれば30番前後でお願いします!!!私にマイケルを打たせてくれ!!神様!!!!!

熱めのシャワーを浴びて、ばっちり気合の入っていた私は、やや勢いよく抽選ボタンを押した。

 

140番。

 

ぐらりとめまいがする。これはまずい。あのマイケルジャクソンの台だぞ? しかも、この日は新台で入ってまだ日が浅い。いや、マイケル打つだろ、皆。座れないだろうが、チクショウ。

 

再整列の段階で、不安からだろうか? ややイラつく私。マイケルを打ちたいと高揚する気持ちと不安と、そして隠し切れない苛立ち。様々な感情が渦巻き、今にもビートイットのサビの振り付けをしてしまいそうになる。私が並びながらビートイットを踊れば、その場に並んでいたすべての人もきっと同じように踊りだし、早朝からパチンコ屋の前がビートイット祭りになっていたに違いない。そんなことをしてしまっては、それこそマイケルが打てなくなってしまう。私は踊りだしそうになる体を必死に静め、前に並んでいる人たちが少しでも別の台に流れてくれることを祈った。


さあ、いざ開店である。私の不安は増すばかりだった。右手を腰の近くで小さく振りながらの入店。軽くビートイットが出てしまっている。私の直前に並んでいた数人は、パチスロコーナーに入るやいなや一目散にメイン島へと歩を進めていた。

 

違う違う、マイケルはそっちじゃないぜ。そっちには番長3と絆しかない。その奥に確かハナハナやらジャグラーやらがあるが、そっちじゃないんだな、これが。前もって調べておいてよかったぁ。

チラリとメイン島へ視線を向けると、人でごった返している。しかし、そこにマイケルは無い。おそらく皆、メイン島でマイケルを探しているのだろう。

私は自らの準備の良さを心の中で称賛し、やや慌て気味にマイケルゾーンへと向かった。


マイケルが三台ある列に到着。手前にあるコードギアスR2には数人座っていた。ああ、惜しいなあ。それはマイケルじゃない。もう少しだったね、うふふ。きっと焦ってコードギアスだと気づかずに座ってしまったんだ。コインを入れて、投入音で気づく。あ、これじゃなかったと。すいません、私は一目散にド本命、マイケルへ向かいますね!! 私は思わず笑みをこぼしながら、颯爽とマイケルへ向かった。

 

 

よしよし、おっけ。取れた取れた。

 

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フゥー!!かっこいいぜ!!

 

しかし、マイケルに見とれていた私はある事実に気が付く。
……あれ? 誰もいない?


私は混乱した。140番入場の私が、ほぼシンガリからの入場だった私が、なんとマイケルに一番乗りだった。稼働が止まっているのか? ライブのDVDで、マイケルがステージに立っただけで数人のファンが気絶してしまうのを何度か見たことがある。そんな惨劇を回避するために、マイケルの稼働を停止したという可能性も無くはない。

 

「あの、すみません。スターの台は、マイケルは、止まってるんですか?」

私は思わず近くにいた店員さんに聞いた。しかし店員さんはキョトン顔で、「台確保券をデータカウンター横のフックになんたらかんたら~」と言っている。私はただ一人、三台のマイケルと向かい合った。デモ画面。つまり、稼働はしている。

とりあえず、最大獲得枚数が最も少ない台を確保して、着席した。

 

私は、超余裕で一番だった。

 

……その②へ続く。