抽選負け軍記『VSパチスロ タイガー&バニー』:前編
都内某所。
今日も貴重な休日をスロットに費やしているスロリーマンが一人……。
熊井シシャモ
「おっと、列が動き始めました。抽選抽選!! 抽選から朝の台選びまでが一番楽しいといっても過言ではありませんからね!! 気合いれていくぞぉ!!」
抽選番号
283/300
熊井シシャモ
「またこんな番号を……」
熊井シシャモ
「ったく。仕事も休みなのに眠い目こすって打ちに来ているのだから、少しくらい良い番号を引かせてほしいものです。やれやれ、これで4回連続で後ろから20番以内を引いています。そういう星の元に生まれたということでしょうか…」
思わずぶつくさ文句を言う熊井シシャモ。彼はここ最近、
358/365
220/230
118/120
と、まったく良い番号を引いていないのである。
とは言えどんな番号を引いても、打ちに来てしまった以上は入場して空いている台に座ることを礼儀と感じている依存症なので、彼にこの場で帰るという選択肢はない。何はともあれ入場である。
熊井シシャモ
「さてと、空き台はありますが、撤去間近の初代まどかやモンハン、人気どころの絆やハーデスも埋まりますか。おっと、番長3も埋まってます。やっぱり旧基準機の撤去に合わせて、最近どの店でも強めに使われてる感がある機種ですからねぇ」
熊井シシャモはメインを諦め、少数設置、バラエティコーナーへと踵を返す。新台のピラミッドアイをはじめ、ノーマルタイプが複数埋まっているのを確認した彼は、6号機をチェックしに行くことに。
熊井シシャモ
「新台の猪木とガンダムが埋まっていますね。まあ、この辺は打つつもりなかったので良いです。そうだなぁ、今日はこれで行こうかな」
抽選負けで気分がやや落ち込んでいる彼が選んだのは
タイガー&バニー、通称『タイバニ』である。
熊井シシャモは、この台をそこそこ打っていた。ガルパン、弥生ちゃんほどではないが、6号機のなかでは好きな部類に入る。
熊井シシャモ
「よしよし、とりあえずここから行きますかね」
彼は意気揚々とタイバニを打ち始めた。
タイガー&バニー。STっぽい仕様のATを搭載した6号機である。
30ゲームのATの間に、純増4枚の疑似ボーナスを引くことで、そのメインATのゲーム数をリセットしていくという内容のAT機。イメージとしては5号機の『トータルイクリプス』に近い。
ATと疑似ボーナスの連チャンで獲得枚数を伸ばしていくのだが、注目すべきポイントは『疑似ボーナスの当選率と、メインATの純増枚数が変動する』というゲーム性だ。これがなかなか凝っていて彼の好みに合っていた。
AT中に変動する疑似ボーナスの確率はおよそ1/58~1/13。継続率に直すと、およそ40%~90%。この確率を上げていく作業が面白い。
また、純増枚数も変動する。ST型のメインATには『ナビレベル』というものがあり、内部的に成立する押し順ベルを、液晶上でナビする確率が変動しているらしい。
『ナビレベル』は三段階あって、純増1.0→2.0→4.0と上昇していく。当然、ボーナス確立もそうだが、このナビレベルを上げないことには話にならない。
熊井シシャモ
「この台、最近出た新台の中ではトップクラスに好きなんですよねぇ。もっと導入されればいいのに」
熊井シシャモ
「さて、まずはCZを目指しましょう」
通常時、まず目指すのはCZである『オンエアチャレンジ』。レア役からの当選がメインだが、とにかく内部状態が重要となってくる。
タイバニは通常時『低確、通常、高確、超高確』という4つの状態が存在する。
簡単に言えば、上位に行けば行くほどCZに当選しやすいのだが、特筆すべきは2つ。
・超高確ならばどのレア役でもCZが確定する
・状態はCZの当選まで転落しない
転落無しはかなり助かる仕様だ。
ちなみに、状態アップはレア役による抽選と規定ゲーム数によるものの2つ。
規定ゲーム数はざっくり言うとゾロ目のゲーム数。111G、222G到達で1段階アップは確定する。また、222Gでは50%で超高確まで上がるので、それなりに超高確には上がるイメージだ。
レア役以外でも状態が上がるうえに、転落が無い。とても助かる。
また、疑似ボーナスとAT終了時は必ず通常以上からのスタートとなる。つまり低確へは、CZ失敗時にしか移行しないということだ。これもまた助かる。タイバニは打ち手を助ける台と言っても過言ではない気がしてくるではないか。
熊井シシャモ
「さてと、朝イチはどうかな…おっと、言っているそばから弱チェリーです」
熊井シシャモ
「これがCZに行ってくれれば、朝イチは超高確スタートが濃厚ですね」
朝イチ34ゲームで弱チェリーを引くシシャモ。弱チェリーでのCZ当選率は、高確で0.4%と激薄(設定差ナシ)。そのため、弱チェからのCZ当選はほぼ超高確からと思って間違いない。
これがあっさりCZにつながる。
熊井シシャモ
「おっと、あっさりですね。まあ、設定差はない部分ですが、こういうヒキも大事にしていきましょう」
このCZはスルーしてしまったが、その後150Gで、再び弱チェリーからCZ。この挙動に、彼はピクリと反応する。
熊井シシャモ
「ん? 先ほどのCZ終了後から、一度もレア役を引いていません。今のCZも超高確での弱チェ当選が濃厚。111Gで状態が一段階上がったとして、ということはCZ終了後の状態移行に高確以上が選ばれたということでしょうか」
CZ終了→特にレア役無し→111G(状態1つアップ)→弱レア役解除
今回のような流れだと、状態が上がるポイントは規定ゲーム数しかないのでCZ終了後の状態が高確以上であったということだろう。
タイバニはAT・ボーナス終了後の状態移行抽選に設定差はないが、CZ終了後の移行抽選にはなかなかの設定差がある。
完全に見抜くことはできないものの、状態の把握と移行契機の推測を行うことで、設定看破が捗る。当然、転落がないので展開的にも助かる。
展開は悪くない熊井シシャモ。勢いそのままにこれを突破。赤レギュラーボーナスを獲得。
さらにそのレギュラー終了後14GでスイカからCZ。またしても超高確戻りっぽい挙動である。
これも難なく突破し、赤異色ビッグ。
熊井シシャモ
「うーん。我ながら上手いですね。ATへの突入とはなりませんでしたが、この調子で頑張ってほしい!」
その後も悪くないテンポでCZとボーナスを引き当てるシシャモ。
136G・CZ→白異色ビッグ
15G・CZ→58G・CZ→245G・CZ→白レグ
25G・CZ→白レグ
27G・CZ→赤同色ビッグ
熊井シシャモ
「あらま、かなりいいですね」
熊井シシャモ
「今のところ、体感ではレア役からの状態アップにも期待できるような挙動ですねぇ。低確に滞在している感じもありませんし、これは結構良いのかしら……」
熊井シシャモ
「出来れば設定差の大きい上位ボーナス『ブルーローズ』が欲しいところですが…」
なんて思っているとその後しばらくして
145G・CZ→328G・CZ→白ブルーローズ当選
熊井シシャモ
「引いたじゃん引いたじゃん引いたじゃん引いたじゃん!!!!!」
言ったそばから欲しいものを引っ張ってくるシシャモ。この展開に思わずバグったペッパー君のように同じ言葉を繰り返してしまう。
この上位ボーナスを生かし、きっちりATへ突入させる。
勢い、挙動、そして設定的な感触も良好。これからの展開に胸を躍らせたシシャモは思わず白井貴子氏の「CHANCE!」を口ずさむ。
熊井シシャモ
「CHANCE!CHANCE!CHANCE! ときめきに、愛をのせてぇ~!!」
その歌詞の如く、シシャモはつかんだチャンスをものにできるのか?
ーーー後編へ続くーーー