ゴールドラッシュ作戦
朝イチからパチスロを打つとして、皆さんはどんな風に立ち回ってるのでしょうか。私はもっぱら「高設定であってほしい好きな機種から打ち始める」というパターンだ。
お店やその日の状況によっても大きく変わってくるとは思いますが、私は設定狙い5割、趣味5割くらいの心持ちで「HEY!鏡」に座ることが多い。コイン持ちがいいので、投資がかさみにくいというのもありますし、なにより高設定の挙動がかなり分かりやすい。それでいて、低設定がたまに2000枚クラスの出玉をポンッと出してくれることなんかが、そこそこの頻度である。好きだ。
朝イチは鏡に座って、のんびりと打ち始める。判別をしながら打ち進め、「これは違うかなぁ」と思うのが13時くらい。この時点で投資は2万円くらいには膨らんでいると思うが、まあこのくらいならばまだ何とかなる。
そして店内を回遊し、打てそうな台を探すのだ。昼過ぎのホールはまだ可能性であふれているので、ワクワクしながら次の台を探すことができる。昼過ぎのホールほどワクワクが止まらない場所はない。
私はこの「朝一から打っていた台を昼過ぎくらいに見切り、負債を抱えたまま次の台を探す」という状況に陥ることが、異常なまでに多い。うん、ツモれてないってことですよね、えへへ。私は「朝スカる→負債を抱えて昼過ぎに回遊」というパターンの立ち回りを『ゴールドラッシュ作戦』と名付けた。特許の申請をたくらんでいる。
とある休日も、私はいつものように近所の店に朝から打ちに来ていた。この店、朝イチはそんなにお客さんがいないので、落ち着いて台を選ぶことができる。
まあ、選んだって高設定なんて無い可能性の方が高いのですが…。ちょっとでも台を選別している素振りを見せることが、せめてもの礼儀だろう。
店長が揺るぎない屈強な覚悟を持ってスロット全台ベタピンで放置しているとしても、設定キーを無くして変更ができなくなっているとしても、せめて「この店を私は信じています!高設定を探していますよ!!」という具合の演技はしなければならないだろう。私は礼儀はしっかりするタイプなのだ(知らねぇよ)。
と、いうことでとりあえず『HEY!鏡』を確保。
3周期をスルー。5周期目までは見ない。その時点で天井を意識しなければならなくなるからだ。ベリィちゃんが「ワーオ」とかけ声をくれたのを確認してヤメ。
2台目も鏡。これも3周期目をスルー。ベリィちゃんが「ワーオ」でやめ。
3台目の鏡も3周期スルー。ベリィちゃん安定の「ワーオ」。ヤメ。
この間、恐ろしいほど何も起きない。静かに投資を重ね続ける。山場や見せ場もなければ、コレといった珍しい演出もない。日曜日の午前中に散歩している時くらいの穏やかさだった。
鏡をあきらめ、近くにあった『戦コレ徳川』に座る。朝一台だ。
3周期目のジャッジ中にチャンス目と弱チェリーを引く。みこみこチャンスに期待したい場面だったが、突入ならず。感触が悪い。ヤメである。
その後は220ヤメの『笑うせぇるすまん』を293狙いをしてあっけなくスルーしたり、『ヴァーミリオン』のフリーズ狙い、じゃない。マナ狙いなんかをやってみたが、いずれもスルー。
うむ、穏やかだ。こんなにも静かにパチスロを打っているのは久しぶりである。美術館にでも来ている気分だった。
そんな美術館での実践が私にもたらした物と言えば、穏やかな心でも養われた美術的な感性でもない。焦りだ。圧倒的な焦り、そして恐怖である。
「はわわ…はわわわ……」
私はホール内でつぶやきながら頭を抱えていた。何もできない日だ今日は。何なら1度も当たりすら引いていない。何に対して金を使っていたんだ俺は。本当に美術館にでも行った方がよかったのではないか?
思いつめた表情を浮かべる私。周囲の人たちはあまりの悲しげな表情に『あの人は恋人と生き別れたのではないか?』と勘違いしたことだろう。そのくらいの哀愁は漂っていたはずだ。
そんな私の目に飛び込んだのは、一筋の光。奇跡とも思える輝き。
『ぱちスロAKB48 エンジェル』
最近出たノーマルタイプである。
ふらっと目に入った、バラエティーに1台しかないその台。えっと、ビッグ11回、レギュラー13回。そこそこ当たってるのかな? 総回転3800回転、350ゲームくらいで捨てられていた。
ん?
3800回転で、24回も当たってるの?
打ったことは無いが、ビッグが400枚取れるという台である。すごい。すごい夢だ。
夢があるに違いないが、勿論そんな獲得枚数を誇っているということは合算確率は重い。しかし、これが高設定となった場合、それなりの出玉感を味わうことができる。
もしも仮にこの台の高設定があるとすれば、そうそう打てる機会なんてないだろう。
さあ、気になる合算だ。
ボーナス合算
1/189.4~1/169.8
尚、設定5と6はレギュラーとビッグの割合が1対1。設定1、2では若干ビッグに寄る仕様だ。
3800回転回って、おいおいおいおい。
合算が1/160くらいか? ガッツリ6上回ってるじゃないか。
慌てて確保する。
いや待て。なぜだ……。なぜこの台が空いているんだ?
こういう場面では、何かを疑った方がいいのか?小役がこの世の終わりと思えるくらいに悪いとか?
いや、そんなことを言っている場合ではない。4000回転近く回っているのだ。上だろ、上。ビッグ400枚とれるノーマルの上が空いてるよ。マジで僥倖。圧倒的僥倖。これがゴールドラッシュ作戦の真骨頂である(うるせぇよ)。
で、この台をこんなにハメるんだ、俺は。
はーい、45000負けでーす。
私はこの日、一度の当たりを引くこともなく惨敗したのでした。何がゴールドラッシュ作戦だ。穴があったら全力で飛び込みたい気分である。私はコケになりたい。