VS『パチスロ涼宮ハルヒの憂鬱』
1/1489。
この数値は『パチスロ涼宮ハルヒの憂鬱』の全設定共通ボーナス確率である。
一見、こんなに重いフラグはおまけ程度にしか考えられない。設定差がないのだから、これに頼って出玉を獲得しようというのは間違っている。そう、普通はそう考える。
私、スロットはお世辞にも上手いとは言えないだろう。ディスクアップのビタも、成功率が80%を超えない。立ち回りも「設定云々どうでもいいわ。マイケル・ジャクソン打つわ」といった具合に趣味打ちがメイン。番長3で全然勝てないのに、呪われているせいでバカみたい打ってしまう。
そんな私に、唯一備わっているパチスロ能力。それがこのハルヒに関するものだ。
『ハルヒに限定すれば、確実にこの確率よりも軽くボーナスを引くことができる』
今回は、オカルトで勝負です。
尖った性能のART。確率の重いボーナス。これを組み合わせた機種が多数登場し、私はそのどれにも漏れることなく葛藤してきた。
ボーナスが確率通りに引けない。
獲得枚数をより上乗せするには、この確率の重いボーナスを引くことは必至。この手の台で効率よく勝つためには、ヒキで何とかするしかないのだが、それを私は苦手としていた。
しかし、ハルヒに出会ってその感覚は一変する。なぜかボーナスがそこそこ引けてしまうのだ。
勝ち負けは一回横に置かせてください(置いちゃだめだろ)。ことボーナスに関することだけ言わせてください。私は確実に、発表されているこの確率よりも軽く、ボーナスを引いている。
1/1489。
これは確実に割っていると思うんですよ。
とある休日、朝から都内の某店舗へと並びに向かっている車内で、スロ友人のエス君にこの話をした。
熊井「俺、今までエス君に黙っていたことがあるんだけど」
エス君「……何?」
エス君は漏れることなく、休日は大体二日酔いだ。この日も辛そうな、且つ眠そうな顔で煙草をふかしている。そんなエス君に、私は意を決して言った。
熊井「俺、ハルヒのボーナスを確立以上に軽く引けるんだ」
エス君はチラリとこちらを見る。眉をひそめ、深く煙草を吸った後、まじめな表情でうなずいた。
エス君「ほう。あれ、設定差ないやつだよね?」
熊井「そう。1/1500くらい」
エス君「体感は?」
熊井「多分、1/500くらいで引いてる」
エス君「……なるほどね。それはつまり、クマにそういう力が備わってる感じか」
熊井「うむ。にわかに信じがたいことだけど、そういうことになると思う」
ちなみに、私とエス君はこの会話をクソ真面目な顔と声のトーンでしているのです。完全に頭がおかしい。
向かっていた店には、なぜか新台としてハルヒが4台導入されていた。正直、ボーナスが引けるイメージがあるだけで勝てるイメージはあまりなかったのだが、この真面目な話し合い(何も真面目じゃないだろ)の結果、私はこの日ハルヒを打つことにした。エス君は取れればフェアリーテイルを初打ちしたいと言っていた。初打ちの台は、何となく勝率がいいらしい。
お互い勝つために綿密な戦略を立てた気でいたのだが、改めて考えるとオカルトと趣味打ちでしかない、ガバガバ計画だ。しかし、車内のあの瞬間だけは、それが必勝法だと信じ切っていた。アホである。私もエス君も、数年間まったく成長できていない。
抽選も突破し、二人そろって狙い台を確保。したり顔で『とりあえずは計画通りだ』とラインをする熊井とエス君。お互いニヤニヤが止まらない。
何が狙い台だよ、恰好つけやがって。ただ好きな台を抑えただけじゃないか。そんなツッコミが聞こえてきそうですが、ちょっとそういう意見は聞かないことにします。私も重々承知しておりますので。私は意気揚々と打ち始めた。
打ち始めて200ゲームほどで閉鎖空間へ行く。ここはスルー。
その後170ゲーム。閉鎖空間。スルー。
流れとしては悪くない。ここは我慢の時だ。
そして456ゲーム。
ほらきた。ボーナス。
引けるんだよなぁ。
このボーナスからのART当選はなかったが、その後
187ゲーム
12ゲーム
これよ。これが私の力。
どうだろうか、この低設定のハナビみたいなボーナスの引き方。これはもう、私に特殊能力が備わったと言っても過言ではないだろう。
そう、ハルヒはこういうことなのだ(どういうことだ)。
いずれのボーナスからもARTの当選は無かったが、その後しばらくして訪れた閉鎖空間からついにARTに突入させる。
そのART初期ゲームを決めるハレハレチャンスは40ゲーム。
その後の上乗せから入ったハレハレで
まあまあ乗せる。
ハルヒで勝つ方法。それはボーナスのヒキでも、ARTの初当たりの軽さでもない。
「ハレハレで事故らせる」または「コンボチャレンジでバグらせる」。このいずれかだ。単純である。
この程度では事故とは言えない。とにかく大きなゲーム数の上乗せが必要。出来れば初期ゲーム数が20ゲーム以上のハレハレチャンスがほしい。
ハイ来た、これだよ。
こういうことだ。これくらいが無いと、ハルヒは何も始まらない。5ゲームとか10ゲームとか、そういうレベルの上乗せはほとんど意味がないんだ。300以上が案外ポッと乗ってしまう。そういう台だ。ボーナス? 知らん。ハレハレで乗せないと始まらない(さっきまでの発言は何だったんだよ)。
この後もそこそこ頑張り、上乗せを重ねる。
うむ、なかなかいい感じだ。
なんやかんやで獲得枚数は
上出来すぎるぞ。やれるじゃんハルヒ。
ちなみに、エス君はすでにフェアリーテイルから撤退していた。ボーナスを2回引いただけで、限界を感じたらしい。パチンコのシンフォギアでよろしくやっているようだった。
さてと。私もそろそろやめるか。設定看破は良く分からないし、なによりボーナスが引けなくなってきた(自分のヒキの問題だろ)。この台は多分、設定無い(だからボーナスは設定差ないだろ)。
次の閉鎖空間来たらやめよっと。あ、強チェ。ちょっと様子見るか。ん、リプレイあと3回引けば発展か。もう少しだけ……。むむ、ポイント溜まってきたな。次の閉鎖空間まで……。あ、チャンス目。おお、またリプ引けてる。あ、ポイントが……。
……まあ、いいか。もう一回当たるまで行こう。どうせボーナス引けるし。
はい、残念でしたー。ボーナス引けず、しれっと天井。
腹立つわ。
その後、合算良さげなハナビをで出玉を上乗せ。完全に趣味打ちだったが、ドリームクルーンでも多少出玉を獲得。最終的に、
投資24000
回収72000
快勝である。エス君は残念ながら負けていたが、シンフォギアが楽しい、なんてことを嬉々とした表情で語っていたので、実質勝ちみたいな感じだったのだろう(勝ってないだろ)。
ちなみに、この日のハルヒにおける総ゲーム数が4500ゲームくらい。ボーナスは5回引いた。
1/900
ほら、引けてる。引けてるんだよなぁ。
こういう、謎の相性がある台って大事ですよね。期待値とか設定とか、そういう数値的なものとは別個の『相性』っていう概念。完全にオカルトなんですけど、スロットとかパチンコとかってこういうのが意外とバカにならなかったりする気がする。
ちなみに、私はこの翌日競馬で3万ほど負けている。「確率が。確率がどうのこうの~」と騒いで枠連ばかり買っていたのに、だ。センスがないにもほどがある。
競馬も結局は相性なのだろうか。ちょっと前にいた「ワンダーアキュート」という馬が好きで良く買っていたのだが、この馬との相性は良かった。よく勝たせてもらった。なつかしい。産駒が楽しみだ。
競馬でも勝てるように、今後相性のいい馬が必要だなと思った夏の日でございました。