ゼロゲームやめが出来るまで

パチスロが好きなんですよ

暴走する私:その②

意を決して着席した北斗修羅。とにもかくにも、ARTにぶち込まなければ話にならない。あとは天授を引いて枚数を稼いでいって、イイ感じに継続抽選も拾っていって、まぁ、そんな感じかな。お、なんか行ける気がする。

 

そんな妄想をしながら打ち始めたのだが、私はその北斗修羅で何も出来なかった。一度だけ天授を引いたが、それだけ。なんら惜しいこともチャンスもない。

ただただ、滑らかに投資を続けるだけだった。

 

 


無論、移動も考えた。しかし、稼働が良すぎて空き台が無い。エス君は何度か「飽きた」とか「つらい」とかメールをしてきていたが、未だにジャグラーを打っている。定期的に空き台が無いかどうか、ホールを歩き回って確認はしているようだったが、その願いは叶っていないようだった。つまり、私がこの修羅を確保できたことは結構レアケース、奇跡的なことなのである。この奇跡をちょっとくらい信じてみてもいいのではないか? 確かに北斗修羅との相性は悪い。その上、多分設定もない。しかし、こんな幸運なタイミングでの空き台。何か感じる物があるではないか。

もしかすると、もしかするとだ。スロットの神様が、私とこの修羅を巡り合わせたのではなかろうか?? ああ、ありがとう神様。私はその期待に応えて見せます。必ずや、この修羅で出玉を作って見せます。

 

私は感謝の気持ちで、諭吉先生をサンドに流し込んだ。そして、その諭吉先生が消失したところで、私はハっと我に返り、修羅から退散することにした。

 

1だ1。この修羅は1だろ。設定看破要素とか、子役確率とか、そういうものは一つもわからないが、間違いなくこの修羅は1だ。私は立ち上がってしばらく、その修羅を眺めていた。くそ、いつか必ずリベンジをしてやる。鬼神のごとく天授を引き、常にART状態みたいな感じで、バカみたいに出玉を獲得してやる。

ブツブツ文句を言いながら修羅を後にしようとする私。そんな様子を知ってか知らずか、どこからともなくやってきたお兄さんその修羅を確保したではないか。

 

「いや、その台だけはダメだ。いくら空き台がなくても。なぜならば、その修羅は1だから。お兄さん! ダメです!! 1です!!」


思わずお兄さんに声をかけそうになる。しかし、私に残っていた僅かな冷静さが、なんとかそのお兄さんに声をかけるのを踏みとどまらせた。そんなことをしてしまっては、ただの変なヤツだと思われてしまう。彼はサンドにお金を投入し、意気揚々と設定1(熊井調べ)の修羅を打ち始めた。

私はお兄さんの背中を眺め、ぐっと唇を噛んだ。ごめんよ、お兄さん。それは1なんだ。傷が浅く済むことを心から願っておりますので。

私はその島を後にする際、彼に向かって敬礼をする。カドに座っていたオッサンが怪訝な目をこちらに向けていたが、そんなことを気にしている場合ではない。私は次の台を探すことに。投資はすでに36本。万事休すである。

 

 

ちらほらと出始めた空き台。しかし、空き台で履歴を見る限り、良さそうな台は無い。しかし、そんな状況でも打ち始めてしまう私の意志の弱さよ……。なんの根拠もなく、ただいたずらにモンハンジャグラーを打ち、順調に投資を重ねた。おお、もうどうなってしまうのか。

クランキーセレブレーションをノーボーナスで撤退。投資は5万円を越え、私は朦朧とした意識でゴッドの島へと足を踏み入れていた。空き台はないなぁ。あ、ポセイドン。ポセイドン空いてる。もうこうなったら、いったろうかな、ポセイドン。よーし、ポセイドンやっちゃうぞー。

 

私は完璧に暴走していた。
 

そこから先のことは、よく覚えていない。ただ、ハッと我に返った時、私はポセイドンで天井を踏み、単発で駆け抜けていた。こりゃダメだ。なぜか清々しい気持ちでポセイドンを後にし、ほとんど空になっていた財布を確認。ふむ、70本か。えらい負けてしまった。ああ、えらい負けてしまった……。

 

ちなみに、エス君はコツコツと出玉を重ねていたようで、最終的に400枚のプラス。暴走モードに突入していた私とは対照的な結果となった。普段からノリ打ちはしないので、お互い、各々の収支はあまり気にしないのだが、この日ばかりはエス君がジュースを奢ってくれた。彼はいいヤツである。

 

ああ、でもせめてあの修羅は、1ということにしておこうと思う。でないと、なんというか気が済まない。帰り際、ちらりとその台を確認したとき、私の後に座ったお兄さんが2箱ほど積んでいたが、それはきっとお兄さんのヒキが強かったからだ。あの修羅は1だ(熊井調べ)。お兄さんはヒキ強なのだ。なぜなら、あの修羅は1なのだから(あくまで、熊井調べです)。