時代の波に乗れ!VS『パチスロ Re:ゼロから始める異世界生活』
都内、某ホールにて
ここに1人の迷えるサラリーマンスロッターがいた……
熊井シシャモ「なっ…!! 弥生ちゃんが……撤去されている?」
熊井シシャモ「バカな…なぜ撤去する……。少なくとも、俺が毎週のように回し、そして負けていたじゃないか。頑張って俺一人でも回してたのに」
熊井シシャモ「ただでさえロクに最近勝てていないのに、その上愛する台までもがホールから姿を消してしまった。これではもう手の打ちようがない(遠い目)」
???「フッフッフ。お困りのようだね…」
熊井シシャモ「ハッ! この声は?!」
H師匠「やっほ~熊井君。私だよ~ん」
熊井シシャモ「あ、あなたはH師匠……!! なぜ私のマイホに??」
H師匠「そろそろ熊井君が困っているんじゃないかと思ってね。ちょうど私のマイホでも弥生ちゃんが撤去されて、他の店でも見かけなくなってきたし。勝てない上に好きな台までなくなったら、そりゃあ路頭に迷うってものでしょ?」
熊井シシャモ「……お言葉ですが師匠。アンタに勝ち負けについては言われたくない。多分俺より師匠の方が負けてますよ。この前、金貸したばっかりじゃないですか。早くあの2万返してくださいよ」
H師匠「まあまあ、そう言わないの。今日はそんな迷える熊井君に、伝えたいことがあって」
熊井シシャモ「……伝えたいこと??」
H師匠「最近、ホールを牛耳っていると言っても過言ではないくらいに稼働している機種は、なんだか分かる?」
熊井シシャモ「リ、リゼロですか…?」
H師匠「そう、リゼロ。君はあの機種をロクに打っていないでしょう? 一時的なブームならばさして影響はないでしょうけれど、この稼働率と増台の波…さすがに避けては通れないのではなくて?」
熊井シシャモ「!! た、確かに…。それは否めませんね……」
H師匠「話が早ぁい! ならば君がやることは、ひとつしかないでしょう! さあ行くんだ! 設定に期待できそうな店で、朝からリゼロを打ってきなさぁい!!」
熊井シシャモ「(ガタッ) よーし!! まかせてくださいっ!!」
H師匠「ウフフ…ガッツリ打たせて、感想を聞かせてもらおうっと…(まだノータッチ)」
よっしゃ。早速ですが、私はこの台がとても苦手だ。
数値的な設定差でいえば、確か共通ベルに差があるんだっけか。AT中ならナビが出ないベル、通常時も中押しすればそれを見抜くことが出来るが、正直そんなものをカウントする必要なんてないんじゃないかとも思う。
さほど詳しくない私だが、とりあえずはモードAをループしない台が良いって認識でいいだろう。
しかし、このリゼロという台においては、深いゲーム数までハマる方が好都合というパターンもあり得るから困る。通常時に獲得できる「アイコン」と呼ばれるアイテムが、CZである『白鯨攻略戦』を突破するのに大きな影響を及ぼすからだ。
浅いゲーム数で当たってくれ。いや、まあ最悪深くても構わない。うん、そうだ。突破することを念頭に置くならば、最深部まで連れていかれてもいいか……。
539ゲーム、白鯨。
そして息をするように負ける。初戦敗退だ。1回くらい頑張れよ。
まあ、一度くらいはね……仕方ないさ。
さあ、次だ次。次は早めに頼むよ。あ、いやまあ深くてもいいか。突破しないとどうしようもないからね。うん、最悪最深部でも……。
そんな中途半端な感情が、またもどっちつかずな解除ゲーム数を呼び寄せる。
思わずその場で原田知世氏の『時をかける少女』を口ずさむ私。「とーきーをー、かーけーるー少女ー」とワンフレーズ歌ったところでハッと我に返る。いかん、ここはスナックではない。私は今、パチンコ屋にいるのだ。
煙草に火をつけ、気持ちを切り替える。次の当たりは早い。
あっさり1000枚強の出玉を獲得。
うん、早い。そしてまとまった出玉が望める。6号機という獲得枚数に上限がある機種にも関わらず、平均獲得枚数が1000枚を超える、その瞬発力は流石だ。
それにしても、700G台まで行かないな。今の当たりはどうも引き戻しっぽいし。もしかして悪くないのか?期待していいのか??
776G、白鯨。
いや、ダメだ。下だ。
さあ、とりあえずトントンくらいまで来た。どうするか。いくらなんでも通常時が修行すぎて辛い。アレックスが打ちたい。弥生ちゃんが打ちたい。この店に弥生ちゃんが無いのが、せめてもの救いか。あったら秒で移動していた。
もう1周だけ様子をみよう。そう決めて打ち続ける。
あ、そうそう。この白鯨ね、
チクショウ。