ゼロゲームやめが出来るまで

パチスロが好きなんですよ

VS『番長3』その①

 その日私は10時過ぎに目が覚めた。特にこれといった予定も無く、競馬の重賞レースも買う予定がない。なんともぬくぬくした休日の目覚めだった。正午をやや過ぎたくらいにノソノソと家を出る。無論、なんの予定もない休日に向かうのはパチンコ屋である。

 


近所にあるC店。ここはメイン所の機種に、まあまあの頻度で高設定を使っている。絆、まどマギ初代、まどマギ2、そして番長3。この四機種が力を入れている機種で間違いない。


私はふらっと店内を見て回る。いつものようにちらほら高設定らしき台が見受けられる中、番長3のシマだけがやたらおとなしい。まるでハイブリッド車がクリープ運転だけで走っているような静けさではないか。もしかすると、お宝が眠っているのではなかろうか……。私の目がインディ・ジョーンズのように輝く

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私は番長3の空き台の中から、朝から一度も当たっていない台を確保する。201ゲーム辞め、ベルカウンターは8回である。


この台に関して言えば、可能性が残りまくっている。きっと朝イチの対決を見て、ちょろっと回して辞めたパターンだ。過去にこのお店で似たような台を打ったとき、バリバリ5挙動の台をツモったことがあった。そしてその台で3万負けた。非常に腹が立った記憶が蘇る。


そんな忌々しい記憶を、なんとか押し殺し、心の引き出しの奥の方に押し込める。シュレッダーにかけることだけはやめておいた。最悪の場合、怒りに任せて追加投資することになるので、それに合わせてこの記憶を引っ張り出す必要がある。常に最悪の事態を想定しておく。これが私が26年間生きてきた上で得た心得である(何を言っているのか自分でもちょっとよくわからない)。

 

打ち始めて数分。17回のベルで対決、スルー。その後、5回→7回→24回ときてすべてスルー。引き出しに手がかかる。

その後、10回で煽りがでる。


「モードBやんけ! オラァ!」


そう叫びそうになった。怒りが露わになりそうになる。ぐっとこらえ、ぼそっと「モードB……」とつぶやくにとどめた。モードBということは、対決連チャンに行く可能性がある。さっきから軽く対決は引けているし、もしかすると高設定なのだろうか。

 

この10回目のベルはスルーしたが、しばらくしてチャンス目を引いた。カウンターは割れず、チャンス目で発展。チャッピー大相撲。負け。

この対決の後、即夕方ステージに移行した。特訓濃厚である。ふむ、この特訓がダメだったらもう引き出しを思い切りぶち開けるしかない。私は煙草に火をつけながらそう決意した。この決意が現実の物とならないことを祈りながらペシペシ消化する。

しかし、肝心の特訓はというと、こともあろうか何も熱そうじゃない。通常ステージを消化しているんじゃなかろうかと思うほど、何の盛り上がりもない。まあ、しかし、肝心なのは対決中にベルを引くことだ。

対決内容は、チャッピーラグビーベル引けず。あっさりと敗北。

 

なんだこれは。腹立つわ。復活はあるか? いや、どうせないだろう。いつになったら当たるのだ。もう800ゲーム越えとるやんけ。

しかし、思いもよらず、なんと即特訓に行った。


「あっ??」


これはリアルに口走ってしまった。心の引き出しをぶち開けようとしていたその手が止まる。同時に、スロットを打つ手も止まった。私は何度も瞬きをしてその画面を見直した。何度見ても、薫先生の肉体美が映し出されている。

特訓後の即特訓。これは確か、通常BBの時に出る偉い演出じゃなかったか?


私はプチパニックに襲われた。思わぬ状況に陥ってしまったため、怒りなんてものは彼方向こう側へとぶっ飛び、混乱を招いていたのである。私は恐る恐る対決を消化してみる。勝った。告知されたのはやはり、通常BBである。

わずかに私の口元が緩んだ瞬間だった。

 

 

その②へ続く……