ゼロゲームやめが出来るまで

パチスロが好きなんですよ

炸裂!二毛作戦法:その1

去年の話になりますが、私が番長3に救われた時のことを書いてみようと思います。

その日私は、ジャパンカップで負けていた。まるで負けることがあらかじめ決まっていたかのごとく、息をするように1万5千円負けた私は、なぜか不自然なほど落ち着き払っていた。これが大人になると言うことなのだろうか。東京競馬場から家に帰る電車で、私は自らの成長を感じていた。社会人になっても成長が止まらない。


なぜこんなにも落ち着いていたのか。それは私が「ギャンブル二毛作戦法」という秘技を拾得していたからである。この「ギャンブル二毛作戦法」とは、一つのギャンブルで使ってしまった金額を取り返すために、いつでも二の矢として別のギャンブルを用意しておくという作戦だ。簡単に言えば、競馬で負けたらパチスロに行き、パチスロで負けたら馬券を買う、というシステムになる。文字に起こしてみるとバカバカしいこと極まりない。大量に負ける可能性がかなり高い。もし真似をしたいという人がいたら、是非やってみてください。大量に負けます。


この時の私はキリッとしていた。二毛作戦法に、なぜか絶対の自信を抱いていたのである。
『JCで、息をするように負けているのだ。このまま、まっすぐ帰るわけには行かない。ここで二毛作戦法を使わないとしたら、いつ使うというのだ……』

私は自宅近くにある、C店へと向かった。

 

 
とりあえず缶コーヒーを飲みながら店内をぐるっと回る。ゾーンや天井が狙えそうな台はない。何台か箱を使っているが、データをぱっと見た感じで空き台に設定を期待できる雰囲気はない。そもそも、夕方過ぎに空いている台に設定が期待できるとは思えない。


早くも二毛作戦法に陰りが見え始める。多少無理矢理でもいいから根拠を作って打ち始めるしかない。焦りに任せて、なんとかこじつけられそうな台を探した。社会人になっても成長が見られると先ほど言ったが、あれは嘘である。

私は朝300ゲームほどでARTに入り4連したあと、200ゲームちょっとで捨てられている番長3を確保した。ちなみに、ベルカウンターは9回である。

まあ、まだ全然可能性がある台だ。とりあえず、ベルカウンター32回までは見よう。私は淡々と、どことなく情熱的に、ペシペシ打ち始めた。


 
17回目のベルで対決に行く。ここは負ける。その後チャンス目から対決、ここも負け。ベルが全く引けない。私には分かる。これは対決がやれない日だ。若干雲行きが怪しくなる。しかし、ここはまだあわてる場面ではない。番長3は見切りが難しい。まあ32回を越えるまでは打つべきだろう。

そんなことを考えていると、10回目のベルで煽りが発生した。モードBだろうか。

「モードBということは、この後はBか対決連チャンか……」

心の中で呟いたつもりだったが、完璧に口にしていた。それだけせっぱ詰まっていたのだろう。完全に頭のおかしい人である。

この対決がサキめんこ。私は苛立っていた。勝てる気がしない。番長のくせに、なぜ彼はスケバンにめんこで負けるのだ。ブツブツ言いながら打っていると、対決1ゲーム目にベルを引いた。

「あ、40パーで書き換えだ!」

虚をつかれた私は思わず叫んだ。隣のオッサンがちらりとこちらを見る。冷たい視線にも動じることなく、私は集中して対決を消化する。すると特訓を経由して対決に勝利した。

 

さあ、ARTである。ここはマジではずせない。ループが取れているに越したことはないが、とにかくこの一日目でなんとかストックをして、三日目まで持って行きたい。

そんな願いを良い意味で裏切ってくるのも、また番長3。なんと開始早々一日目で豪遊閣に行った。


これはかなり良い展開だ。ループが取れていた可能性が高い。ならば、あわよくばここで轟大寺に行きたい。豪遊閣中のBBが番長3における起爆トリガーの一つであるという情報を持っていた私は、かなり熱くなっていた。煙草に火をつけ、一度冷静になってからレバーを叩いた。

 

その2へ続く。